振袖は第一礼装として、未婚の女性が着るのが一般的とされています。着る機会としてもっとも代表的な場面に成人式がありますが、それ以外にも初詣や卒業式、結婚式、披露宴など、いろいろなシーンで活用できます。そのため、振袖を着ながら食事をすることもありますが、どのようなことに注意しなければいけないのでしょうか。
振袖着用時の基本的な食事マナー
いろいろなお祝いの席で振袖を着る機会があるため、着ながら食事をする機会も多いでしょう。普段の洋服と同じ感覚で食事をすると、せっかくの振袖が汚れてしまうことがあります。そのため以下の基本的なマナーを守って食事をしましょう。
■大きめのハンカチで汚れをカバー
お店で用意されているナプキンを利用し、振袖や帯に汚れがつかないように守ります。もし準備されていない場合を想定して、大きめのハンカチを用意しておくと安心です。振袖の生地は滑りやすいために、帯締めに軽くはさむか衿元にはさんで使用すれば、ずれてナプキンやハンカチが落ちる心配もなく、汚れる心配を防ぐことができるでしょう。
■長い袖には注意
振袖は「振り」と呼ばれる部分を持ち、袖が長い着物です。厄を払い、良縁を願い、未婚女性の証として、長い袖があるのですが、食事をしていると袖をテーブル上の食器などに引っ掛けてしまうことがあります。
そのため、少し離れたところのものをとる場合は、必ず片方の手で長い袖をおさえながら手を伸ばす必要があります。もしくは、周囲の人にとってもらいましょう。常に、袖が他のものに当たらないように注意することが大切です。
振袖を着て食事をする際についやってしまいがちなマナー違犯
振袖は若々しい女性の美しさを引き立ててくれる着物ですが、洋服と同じように振舞ってはせっかくの魅力が半減してしまいます。とくに食事をする際にうっかりやってしまうマナー違反があります。いくつか紹介していくるので、今後マナー違反をしないように気をつけてください。
■身体を倒し、手を伸ばして物を拾うこと
食事中に持っていたバックから物を落とした場合、つい身体を前に倒して手を伸ばしがちですが、振袖で同じような動作をしてしまうと見た目にも好ましくなく、袖も汚してしまいます。
両方の袖を軽くつまんでたたむようにしながら、しゃがんで物を拾いましょう。座敷のようなところでは、畳に膝がつかないようにしましょう。ついてしまうと着物が汚れてしまうため、畳や地面につかないように物を拾う手の袂を片手で添えてください。
■垂れそうな料理の汁を手で添えること
食事中に料理の汁が垂れないように手を添えがちです。ただしマナーとしてはよくないので、懐紙を使うようにしましょう。懐紙があればお菓子の受け皿にもなるうえ、骨を取る際に懐紙でおさえることもできます。
■コップをそのまま持つこと
グラスを持つとき、そのまま手元までコップを持つのはやめましょう。グラス類は結露してグラスの底に水滴がたまりやすく、振袖が汚れてしまうため、グラスの下をハンカチなどで一度拭いてから持つようにしましょう。
■深く腰掛けること
椅子に座るときに、背もたれに深く腰かけるのはやめましょう。背中の帯が崩れる可能性があるため、浅く腰かけるようにしましょう。また、足を開いたり背中を丸めたりして座ると見た目も美しくありません。足を揃えて背筋を伸ばすことで、好印象を与えることができます。
■茶碗や皿の上に箸をおくこと
これは振袖に限ったことではないマナー違反ですが、箸を茶碗の上に置いたり、箸先を皿のふちに乗せるのはマナー違反です。箸を休ませるときは、必ず箸置きに置くか、もしくは箸袋を箸置き代わりにして、その上に置くようにしましょう。その他、迷い箸やさぐり箸、ねぶり箸など、箸の使い方でのマナー違反がたくさんあるので、箸の使い方にも注意をしましょう。
成人式の前撮りで事前に振袖に慣れておくのもおすすめ
はじめて振袖を着るのが成人式という人も多いでしょうが、成人式当日まで一度も袖を通さないと不安に思うことがあるでしょう。そんなときには成人式の前撮りとして事前に振袖に慣れておくことがおすすめです。
今まで着ている洋服や浴衣などとは着心地も動き方も違うので、少しでも事前に感覚を掴んでおくことで、当日は振袖を美しく着こなすことができるでしょう。
また、着付けやヘアメイクの練習にもなるうえ、当日に友人と過ごす方は、家族との写真を事前に撮っておくことも可能です。また、歩き方や食事の作法など、事前にマナーをチェックするよい機会にもなるので、前撮りはおすすめです。
振袖は着ているだけで素敵な印象を与えてくれますが、せっかくの振袖もマナーを守らなければ、振袖の魅力が半減するばかりではなく、周囲の人々に不快な思いをさせることもあります。とくに振袖で食事をする機会もあるので、マナー違反をすることなく、作法を守りながら楽しんでください。