振袖は一見して絢爛豪華な文様や色彩が色鮮やかで、どの女性も華やかに見えます。しかし、着物の着こなしを間違ってしまうと、それだけで女性の魅力を半減してしまい、逆にだらしない印象に見えてしまうのも事実です。一生に一度の成人式の晴れ姿では、場所にふさわしく、着る人の魅力を引き出す綺麗な着こなしを心掛けたいものです。
綺麗な着こなしのために準備すること
ドレスなど着物以外の装いであっても、綺麗に着こなすためには事前準備が必要であるのはいうまでもありません。やはり着物を身に着けるためには、洋装用の下着ではなく和装用の下着やインナー、長襦袢を用意することが必要不可欠です。普段つけている洋装用のブラジャーなどは、多くはボリュームアップなど洋装用のメリハリや曲線美を強調するための下着です。
着物はそれに相反してバストやヒップを強調するのはできるだけ控えて、ずん胴のほうがむしろよいとされています。着物は洋服と違って立体のシルエットではなく、平面構造が特徴のため、ヒップやバストを強調する必要がないのです。呉服店やレンタルショップでも和装下着が販売されているので、それを活用するとより美しく着物を身に着けることができるようになります。
下着は一枚持っておくと、留め袖や訪問着にも活用できるので便利です。また綺麗な着こなしのためには、事前に着物にしわなどがないか点検し、しわがあるようなら絹素材をだめにしないように、慎重に何重か当て布をして低温でアイロンがけするなどの気配りも大事であるといえます。
振袖の綺麗な着こなしのポイント
洋服と違って着物には、綺麗に着こなすためのいくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえて着付けするだけで、だらしなさはなくなり上品できちんとした綺麗な着こなしができるようになります。まず着物に袖を通したときに最初に行うポイントが半襟の位置の決め方です。
鎖骨と鎖骨の間の喉元にくぼみがあります。このくぼみが半襟できちんと隠れるように衿を合わせて着るのが綺麗な着こなし方です。衿が開きすぎると色っぽくなりすぎる、だらしなさが出るので注意が必要です。また、着物を合わせて、おはしょりのおくみと、着物本来のおくみが一直線になる様にしっかり整えなければいけません。
そして帯を巻く際には、脇下から帯を乗せ、帯留めが帯のちょうど中心に位置するように調整しなければいけません。帯をしめて、おはしょりが6センチ程度のぞいていれば綺麗な着こなしであるといわれています。裾の長さは足の甲すれすれの長さが綺麗とされています。少し裾の合わせが右上にあがっているとバランスがよく美しいです。衣紋の抜きは、握りこぶし一つ分がベストな衿の抜き方とされています。
これ以上大きく衿を抜きすぎると、色気が増し過ぎて成人式の装いとしてはふさわしくありません。帯結びに関しても、ふくら雀などに代表される帯結びで背中の高い位置に帯結びがくると若々しさや初々しさを演出できて成人式にふさわしい帯結びといえます。背中の背中心線も裾に向かってまっすぐ一直線にのびるように着こなすことが、格式高いきちっとした着こなしといえるでしょう。
綺麗な着こなしには所作なども大切
着物の所作は洋服のときとまったく異なるといえます。振袖に代表される着物姿のときは、すべての所作や動作を控えめに意識することが大事です。また片方の手だけで何か動作するのではなく、常に両手で一つ一つの動作を行うということが最大のポイントになります。片手で携帯電話をかける、片手をあげてタクシーを止めるといった行動では、その都度袖がずれて腕が露わになり、下品に見えてしまいます。
そのため片手を上げて動作する際は、常にもう片方の手で袖口に手を添えて、袖がずれないように上品にふるまうことが大事です。また洋服のときのように大股で歩いたり、走ったりという行動は下品に見えてしまうのでご法度です。着物の特性上、大股で歩くと着崩れの原因にもなるので、小幅で少し内股気味に歩くと、品よく振袖にあった所作になり美しく見えます。
振袖の前撮りの際には背筋をピンと伸ばし、少し内またで片方の足を後方にずらすことで美しい着物姿になります。こうした所作の一つ一つを注意して行動するだけで、魅力的な美しい振袖姿になります。最初は慣れずに難しく感じるかもしれませんが、着物を着るとスイッチが入るようにしておきたいですね。
成人式の振袖姿は一生に一度なので、魅力的に美しく着こなしたいものです。そのためには下着や長襦袢など専用アイテムの準備を怠ってはいけません。また着物にしわなどがないように、事前準備を万全にすることも大事です。そして着物の基本である美しい着こなしのポイントを守ることは鉄則といえます。衿の位置の決め方、衿の抜き方、おはしょり、帯や帯留めの位置、裾の位置などポイントを押さえて着付けしなければいけません。また美しい振袖姿には、それに見合った上品な立ち居振る舞いを心掛けたいものです。