成人式や結婚式の参列などで着用する振袖。華やかな着物に袖をとおすと心がうきうきと弾みます。でも着物に慣れていないと着用中に「困った」と感じることもしばしば。そんな「困った」を解決できるアイテムのひとつにストッキングがあります。今回は振袖着用時にストッキングを履くメリットについてお話していきます。
振袖を着用する際にストッキングは履くべき?
和装用に作られた和装ストッキングというものがあります。普段私たちが目にするストッキングとはすこし違う形状です。お手洗いに行きやすい形状のものや、つま先が足袋のように割れているもの、くるぶしから先がないものなど、和装に特化して作られたストッキングです。色は白かベージュです。着付けを美容室などでお願いしたとき、ストッキングを持ってくるよう指示を受けたら、和装ストッキングのことを指しています。
実は和装には洋装のようにストッキングの着用がマナーとされる場面はありません。マナー違反ではないので履くか履かないかは自由です。ですが和装ストッキングを履くことで快適に過ごすことができるとしたら、使用したいと思うかたもいるでしょう。では具体的にどのようなメリットがあるのか、説明していきます。
振袖着用時にストッキングを履くメリット
和装ストッキングを履くことで得られるメリットはさまざまあります。
■裾さばきがよくなる
裾さばきとは、裾が絡んだり、乱れないようにする身のこなしのことです。和装ストッキングは滑りがよく裾がまとわりつかないため裾さばきがよくなり、また、歩きやすくもなります。美しく歩く振袖姿に一役買ってくれます。
■素肌の露出を防ぐ
階段を上がるときや裾がめくれたときなど、足袋の上まで見えてしまいます。ストッキングはお肌の色を均一に見せる、いわば足のファンデーションです。素肌が見えるのに抵抗がある場合はおすすめです。
■防寒
足元の冷え対策にも有効です。とくに成人式が開催されるのは1月。豪雪地帯でなくても、積雪や降雪は珍しくありません。和装ストッキングは長さや形状がさまざまあり、腰から足先まで気になる部分を冷えから守ってくれます。
■鼻緒による足の痛みの軽減
履き慣れない草履で歩くと、足が痛くて辛い、ということもよくあります。ですが最近では鼻緒の当たる部分がクッション使用になっていて、足が痛くなりにくい和装ストッキングも販売されています。
和装用のストッキングが手元にない場合は?
和装ストッキングが近くで売っていない、すぐに必要、という場合、洋装用ストッキングやレギンス、トレンカで代用は可能です。洋装用ストッキングはつま先スルーのものや5本指、足袋型があります。しかし、これらで代用する際に注意点がふたつあります。
ひとつ目は静電気を抑えること。裾がまとわりつき、裾さばきが悪くなり歩きにくくなるためです。静電気を抑えるためには、裾除けや長襦袢と素材を合わせるとよいのですが、なかなか難しいかもしれません。そんなときは、お肌にボディークリームなどを塗ってからストッキング、レギンス、トレンカを履いてください。乾燥は静電気をおこしやすくします。時間がたってもお肌が乾燥しないようにしっかりと保湿することが重要です。また、ストッキング、レギンス、トレンカに静電気防止スプレーをふる、柔軟剤を使っておくなども有効です。
そして注意点ふたつ目はフルレングスのストッキングやレギンス、トレンカは上から帯をしめるため、お手洗いの際に着くずれのもととなります。ローライズのものもありますが、ずり落ちてきたとき着物だとなかなか戻せません。無難なのはひざ上丈やひざ下丈のストッキングを選ぶことです。もし指部分が割れていないものしかない場合は、つま先にゆとりをもたせて履き、余っている部分を足袋型に指の間に挟んでから足袋を履くとよいでしょう。
今回は振袖着用時に足元を快適にしてくれるストッキングについてお話しました。美しい振袖を着用して迎える特別な一日。楽しく過ごすためには少しの違和感もないほうがよいですよね。ストッキングを履くことでそうした違和感を減らすことができます。より思い出深い時間を過ごすことができるでしょう。