振袖選びの参考に!振袖の文様に込められた意味とは?

公開日:2022/06/01 最終更新日:2024/11/19


華やかな振り袖にはさまざまな模様(文様)が描かれています。縁起が良いとされる動植物や物品がモチーフになった和柄を「吉祥文様(きっしょうもんよう)」と呼ぶことも。吉祥文様は種類も豊富で、それぞれに意味が込められていることが特徴です。今回、定番の柄とその柄に込められた意味をいくつか紹介します。

縁起が良いとされている振袖の文様

縁起が良いとされる文様のなかでも、次に紹介する柄は定番だといえるでしょう。そのため、祝いの場で見かけることも多い柄でもあります。

■松竹梅文(しょうちくばいもん):忍耐力、命の誕生

松・竹・梅の縁起の良い文様を組み合わせた吉祥文様です。松は寒い冬にも耐えて、しっかりとした深緑の葉をつける常緑樹であり、竹は成長が速く、まっすぐ伸びて折れることがありません。また、梅は寒い季節のなかで、ほかの花よりも先駆けて美しく咲きます。それぞれの特徴から、松竹梅は忍耐力と生命誕生を意味する、祝いの象徴です。

■扇文(おうぎもん):明るい未来、繁盛、開運

扇は広げると末広がりになることから、繁盛や開運といった吉兆の象徴です。未来への展望が明るいことも意味しています。また、扇をあおぐことで福を招いたり、邪悪を払ったりされるという意味合いもあります。

■観世水文様(かんぜみずもんよう):変わり続けていく未来

観世水文様は、水が渦巻いている様子を描いた流水文様のひとつです。水の常に変わりゆく無限の様子を表し、また、常に新しく変わりながら清らかに流れるという意味合いがあります。「流れる水は腐らず」の言葉にもあるとおり、常に変わり続けていく日常が清らかで、明るい未来へ向かっていくように、との願いもあるそうです。

花を模した振袖の文様

可憐な花は、咲く時期やその鮮やかさからいつの時代でも愛されてきました。続いて、花を模した文様を紹介しましょう。

■桜文様(さくらもんよう):物事の始まり、豊かさ、繁栄

日本の国花である桜は、春を告げる花として物事の始まりを表します。さらに、一度に多くの花を咲かせることから繁栄を表し、春に五穀豊穣を願って行われた花見から豊かさを願う、という意味も含まれている模様です。

■牡丹(ぼたん):高貴さ、富貴さ、美しさ

牡丹は花のなかでも豪華で鮮やかな花です。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はユリの花」という言葉もあります。花弁が大きい牡丹は、女性の美しさを表しているとして、美しさのほかに高貴さや富貴さの意味もあるようです。

■椿文様(つばきもんよう):高貴、神聖

古代より悪霊を払う力をもつとして、神聖な花として大切にされていました。さらに、不老長寿の薬としても使用されていたことから、とくに貴族から愛でられていたようです。そのため、高貴さの象徴でもあります。

■梅文様(うめもんよう):逆境に耐える、人生の理想

寒い時期に咲く梅は、逆境に耐える理想のようだとして、古来中国で大切にされていました。また、日本では学問の神様とされる菅原道真が梅の歌を詠んだことから、貴族から庶民にまで愛された模様です。

動物・虫を模した振袖の文様

続いて、縁起が良いといわれる動物と虫を模した吉祥文様を紹介します。

■鶴文様(つるもんよう):長寿、夫婦円満

「鶴は千年」といわれるように、鶴は長寿の象徴です。また、鶴はつがい(夫婦)で仲良く一生を添い遂げることから夫婦円満の象徴でもあります。折り鶴・飛鶴・千羽鶴と種類も豊富。

■鳳凰文(ほうおうもん):平和、夫婦円満

古来中国で尊ばれた空想上の動物です。「鳳凰は平和で幸せな世界が訪れるとき現れる」という言い伝えがあり、おみこしの屋根の上で大きく翼を広げた姿を見ることができます。延命長寿や夫婦円満の象徴です。

■蝶文様(ちょうもんよう):健やかな成長、長寿、夫婦円満

中国では蝶を「ボウ」と読み、80才を意味する言葉と同じ発音であるため長寿の象徴のひとつです。また、幼虫・さなぎ・蝶へと美しく成長することから、健やかな女性の成長を表しています。さらに産卵期では、つがいと寄り添って飛ぶ姿から夫婦円満の象徴でもあります。華麗な振り袖に使用されることも多いです。

■兎文様(うさぎもんよう):物事がうまくいく、ツキを呼ぶ、子孫繁栄

うさぎは跳びながら進み、後ろに進むことはありません。また、坂を登るのが速いことから、物事がとんとん拍子にすすむことの象徴でもあります。ほかには、月の使者であることからツキを呼ぶ。繁殖能力が高いことから子孫繁栄の意味合いもあります。

その他の振袖の文様

ほかにも、縁起の良い文様はたくさんあります。色味が変われば華やかにも落ち着いた美しさをも感じさせるでしょう。市松模様や亀甲紋など、今もなお広く使用されている文様です。

■花丸文(はなまるもん):無限の発展、夫婦円満

花樹や草花などの一枝一株を丸く配置した文様です。写実的な花から幾何学を感じさせるものまであり、描かれる花もさまざま。丸く配置していることから縁を結ぶこと、さらに日本の国旗が日の丸であることから、無限の発展の象徴ともいわれています。

■青海波文様(せいがいはもんよう):未来永劫、長く続く穏便なくらし

扇形を波に見立てた文様です。大海原で無限に広がる穏やかな波模様から、平和な暮らしが続きますように、との願いが込められています。

■市松文様(いちまつもんよう):無限の繁栄

市松文様は、二色の正方形が交互に並んだ格子柄のことです。現代ではチェック柄とも呼ばれています。歌舞伎役者の佐野川市松が、舞台衣装に使用したことから市松模様として広く知られることになったそうです。途切れなく続いていく柄には、無限の繁栄の意味があります。

紹介したのは吉祥文様の一部ではありますが、どれも祝いの場では定番の文様です。ただ華やかさや美しさをもつだけでなく、それぞれの見た目や特性から願いが込められています。人生の大切な日だからこそ、古くから日本で大切にされている文様を身につけるのもよいのではないでしょうか。

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