成人式といえば振袖を連想する人も少なくないことでしょう。しかし、振袖を着る意味や、そもそも成人式はなぜ行われるようになったかを知らない人は多いはず。人生でたった一度の成人式だからこそ、理由を正しく知ってから迎えてみてはいかがでしょうか。今回、なぜ成人式に振袖を着用するのか、成人式とはいつから始まったのかを解説します。
そもそも成人式のルーツとは?
現代の成人式のような祝い事をするになったのは、戦後からだといわれています。それまでは13歳前後で一人前になったことを証明する儀式を行うのが一般的であり、各地域でそれぞれ行われていたそうです。高貴な身分の男子は「元服の儀」という、通過儀礼が行われていました。
成人式の発祥は、1946年11月22日(昭和21年)に埼玉県蕨市で行われた「青年祭」です。日本は第二次世界大戦で敗戦し、暗く重い雰囲気だったそう。そんななか、未来ある若者を励ますために、希望をもってもらうために行われたお祭りが「青年祭」です。
青年祭を見た日本政府は感銘を受け、以降、成人式は全国に広まり1949年1月15日を「成人の日」として制定されました。1月15日に制定されたのは、新年最初の満月に行われていた「元服の儀」が由来です。とはいえ、旧暦の話であるため現代の暦で1月15日が満月であるとは限らないでしょう。その後、2000年に成人の日は1月第2月曜日に変更されることとなりました。しかし、一部地域によっては、成人式の時期が異なる場合もあるようです。
成人式に振袖を着用する意味
女性が成人式に振袖を着用するには、いくつかの理由があります。理由を知って着用すれば、より晴れやかな気持ちで成人式を迎えられることでしょう。
■振袖は未婚女性の第一礼服であるため
明治時代から未婚女性の第一礼服は振袖とされていました。成人式は冠婚葬祭にあたる儀式であり、もっとも格式の高い場でもあります。そのため、成人式で振袖を着用する人が多いようです。
■振袖には厄除けの効果がある
日本では昔から「振る」仕草に、厄を払い清める意味があると考えてきました。袖の長い振袖を着用することで、病気や厄にとりつかれないようにとの願いが込められていると考えられるでしょう。
振袖の色・柄が持つ意味
振袖のさまざまな色や柄は、ただのファッションというわけではありません。色や柄によって異なる意味が込められています。意味を知れば、振袖選びがより楽しくなることでしょう。
■神聖・魔除けという意味をもつ色:赤色
太陽や火を表す色であり、古くから神聖で絶対的な色とされていました。江戸時代では、病気にかかった子どもの回復を願って、赤色の寝間着を着せることもあったそう。魔を退ける象徴の色ともいわれています。
■穏やか・安定という意味をもつ色:緑色
自然や植物をイメージさせることから、穏やかないやしの色といわれています。自然のように周りと調和する象徴でもあるようです。
■高貴・神秘的という意味をもつ色:紫色
世界でも高貴な色として認識されていることが多いです。日本では、聖徳太子が冠位十二階で最高位の色と定めたといわれています。
■娘の健康を願う両親の思いの文様:亀甲紋
長寿である亀の甲羅をモチーフにした柄です。娘の健康を願う両親の思いが込められているといわれています。
■長寿・幸せの文様:鶴
幸せを運ぶともいわれている鶴は、非常におめでたい鳥です。鶴は千年の言葉があるとおり、健康で長生きする意味が込められています。
■女性の美しさと強さを表す文様:梅
松竹梅のひとつであるため、縁起の良い花として多くの人に知られているのではないでしょうか。梅の花は寒い季節に、ほかの花の先駆けとなるように美しく咲きます。寒さに負けない強さと、美しく咲き誇る姿から女性の美しさと強さを表しているといわれています。
華やかな祝いの場という印象の強い成人式ですが、実は敗戦した日本の未来をたくされた若者を励ますために行われたお祭りが起源です。さらに、振袖は未婚女性が身に付ける衣装のなかでもっとも格式が高い衣装であるため、気が引き締まった人もいるのではないでしょうか。少ない振袖を着る機会だからこそ、色や柄に自分の未来への願いを込めるのも素敵ですね。