成人式は無事に成人したことを家族で喜び分かち合う、晴れの日といえます。成人式には日本の伝統美の着物を身に着けることが文化となっていますが、成人式前の夏ごろに写真の前撮りをする人も多くいます。近年は酷暑ともいわれるほど夏の気温が上昇しているため、夏に振袖を着る際には暑さ対策が必須です。
夏ごろに振袖を身に着ける問題点
振袖に代表される着物は洋服と違って、下着、長襦袢、帯、帯紐、着物と幾重にも重ねて身に着ける特徴があります。普段洋服を日常着にしている人にとって、何層にもなる着物を身に着けるのは、苦しさと暑さに驚かれることも少なくありません。それが成人式の前撮りで夏場に身に着けるとなると、暑さの体感は尋常ではありません。
振袖の暑さ対策でまず大事なこと
振袖を身に着けるときに、まず気を付けるべきは着付けにあるといえます。振袖は洋服と違って、首や脇、裾などの開口部が狭い構造です。衿を少し大きくぬいて、首元の開口部をできるだけ広くして振袖を身に着けるだけでも暑さ対策になります。うなじのあたりが広めにあいているだけでも、暑さの体感がやわらぎます。
また長襦袢の下に、吸湿吸水性に優れた下着を一枚身に着けて着付けすると、少し暑さが緩和します。胸元からウエストにかけては、帯や帯紐などで締めつけて着付けするので息苦しく、とくに汗がたまって暑さを感じやすくなります。そのため下着を身に着けるときに胸元からウエストにかけて、タオルなどを一枚巻いて、着付けし帯を巻いていくのもよいでしょう。
タオルがたまった汗を吸い取ってくれて、少し暑さ対策になります。またタオルを胸元からウエストにかけて巻いておくことで、うまくクッション代わりになって、紐で締め付けたときにも、苦しさを感じにくくなるという効果もあります。
必殺技として、発熱時に額に張りつける保冷剤を胸元などに布で巻き付けたり、背中の肩甲骨の間に張り付けるという方法もあります。どうしても息苦しく暑さに耐えがたいときには、ほんの少し緩めに帯を巻いて着付けするなどの工夫も大事といえるでしょう。
暑さ対策には小物アイテムで対策する
暑さ対策は着付けを工夫するだけではなく、小物アイテムをうまく活用するとよいでしょう。デパートや呉服店では着物に似合う和装小物もたくさん販売されています。和柄の扇子を持ってあおいだりするのも風流であり、美しい振り袖姿を演出できます。日傘やパラソルを活用するのも暑さ対策にはよいといえます。
和傘を日傘代わりにするのもよいですが、無地で刺しゅう素材の振袖にマッチした洋傘を活用するのも現代では違和感がありません。現代では和洋折衷といって、着物姿であえて洋物の日傘やバッグを持つ、モダンなスタイルもトレンドになっています。振袖だから洋傘や扇子を持ってはいけないというルールはなく、色調が統一されていれば現代ではまったく問題はないのです。
またペットボトルのお茶や水などを持ち歩いてこまめに水分補給することも大事です。しかしペットボトルのデザインと着物がミスマッチして美しさを半減することがあります。そのためペットボトルに和柄の手ぬぐいを巻き付け、ペットボトルのデザインが隠れるように工夫した方がよいでしょう。
暑い時期に合わせた振袖選びも重要
夏の暑い時期に振袖を着るときには、暑さを感じさせない振袖選びも欠かせません。例えば、水色など涼しさを演出できるような振袖のデザインや色を選んだり、絽の生地でできた振袖を選ぶなどがおすすめです。
絽とは夏用の着物や小物などに使われる生地となっており、爽やかな着心地を体感できます。また絹目もレース状になっているので、見た目も非常に爽やかです。
夏に振袖を着る場合には、絽振袖を扱っている振袖レンタル業者も探してみるといいかもしれませんね。
振袖は洋服とは違う構造であり、開口部が狭いので、夏場に身に着けると暑くて苦しくなってしまいます。しかし着付け、下着、小物アイテムをうまく活用すれば、少しでも快適に振袖を身に着けることができるようになるのです。着付け前に、呉服店やレンタル店で呉服のプロに相談してみるのも懸命な一つの方法といえます。振袖を身に着けて熱中症になってしまってはいけないので、暑さ対策を万全にして、美しい振袖を楽しみたいものですね。