「レトロな柄の振袖がいい」「個性的な柄を探している」そんなあなたにおすすめしたいのが矢絣柄です。昨今では振袖もレトロモダンというキーワードが非常に人気です。矢絣柄は大正レトロといわれ多くの人に愛され続けてきました。シンプル派から個性派まで幅広く夢中にさせる古典柄のひとつ、矢絣柄について特徴や魅力をお伝えします。
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矢絣柄とは?
やがすりがら、と読み、弓矢の矢羽根の模様を並べた絣織物です。思い浮かべやすいのは、卒業式で袴の上に着用している紫や赤の着物の柄ですね。明治大正時代、女学生の間で流行し、現在でも矢絣柄に袴の組み合わせは、大正レトロとして根強い人気があります。
成人式などで着用する大振袖の場合は、花柄など他のモチーフと組み合わせていることも多く、袴の時のクラシカルな雰囲気とはまた違い、ポップな色合いのデザインも豊富です。古くから矢絣柄は縁起物とされてきました。一度射られた矢は戻ってこないことから、嫁いでいく娘へ親が贈り「出戻ることなく幸せでありますよう」という願いを込めていました。
また、女学生が着用していたり卒業式で着用したりするのも「後戻りせず前へ前へ突き進む」という意味を込めていたといいます。破魔矢の矢羽根が描かれていることから「災厄をはらい幸運を射抜く」という意味合いももっています。
矢絣柄の振袖の魅力
正統派から個性派まで幅広い希望を満足させるデザインが見つかる、これが矢絣柄の魅力です。矢絣柄といえばオーセンティックな大正レトロスタイル。しかし取り入れ方で、古典的なデザインから斬新なデザインまで驚くほど表情が変わります。それは次のような特徴があるからです。
■矢羽根の色でイメージが変わる
矢羽根柄の部分を何色で描くかによってその表情はガラリと変わります。たとえばポップな色で描くとインパクトのあるモダンスタイル、桃色で描くとぐっと可憐なスタイルに、モノトーンで描けばモードスタイルへ、とまったく違った雰囲気になります。
■どんなタイプのデザインと組み合わせても相性がいい
王道の古典やエレガント系、キュート系やクール系、また小花が散りばめられたものや大ぶりなモチーフが入ったもの、どんなタイプにでも矢絣柄はよく馴染むようです。さらにそこに他にはない独特のレトロ感も加わり、より味わい深いデザインになるのです。
■小物合わせの幅が広がる
矢絣柄にはビビットな色の小物や、レースのような洋風のものもよく合うので小物選びで自分らしいスタイリングがより楽しめます。
その他のレトロ柄の種類
矢絣柄のようなレトロモダンな雰囲気がお好みの方におすすめの柄を、いくつか紹介します。
■椿
花の模様を選ぶ際は、写実的なものよりもデザイン化された模様を選んだほうがレトロ感はアップするようです。椿の花の模様はコロンとしたフォルムの赤いお花がレトロポップで、あどけない可愛らしさがあります。
■梅
梅の花は大きめの模様がとても存在感があり、目を引きます。可愛いから大人っぽいまで、花の色やデザインで変わるので、あなたにピッタリのものが見つけやすいでしょう。
■菊
まん丸にデザインされた菊の花の模様は、古典的でありながらどこかモダンな雰囲気があります。赤や白の着物だとより古風なイメージになります。
■七宝(しっぽう)
七宝柄とは円を4方重ねて並べた花びらのような柄です。遊び心のある配色が多く、レトロポップが好みの方にはとてもおすすめです。
■麻の葉柄
六角形の麻の葉に似た幾何学模様で、この柄も袴との組み合わせが人気となります。どんなデザインとも馴染みますが、ポップな色やビビッドな色で描かれたとしても、古典的な雰囲気は失われない独特な存在感があります。
■縞(しま)
今でいうストライプのことです。単色縞のみ、複数色使った縞、あるいは花柄を重ねたものなどさまざまあります。シンプルかと思いきや、実は振袖の模様となるとインパクトがとても強く個性的になります。
レトロモダンな雰囲気が漂う矢絣柄について紹介しました。長い歴史の中で時代と調和しながら受け継がれてきた伝統的な文様。私たちの特別な一日をより華やかに彩ってくれます。きっとあなたの心を奪うデザインが見つかるはずです。